『女性の美しさは国の文化度、ファッションは経済』と語るドン小西さん。
美意識の高い女性が増えた昨今、ドンさんが考える本物の美しい女性とは・・・
- 吉川
- ドンさんの本を拝読しました。お会いさせていただいている中で、いつもドンさんがお話する口調がそのまま文章になっていてとても読みやすくすごく勉強になりました。ファッションを通じて自分の個性を現すには自分を知ることが大切ということで、自分と向き合う機会になりました。当サロンにお越しいただくお客様やまつげエクステにご興味のある女性は、美意識が高く華やかな方が多くいらっしゃいます。世界的に活躍されたファッションデザイナーのドンさんから見る外面的、内面的問わず「美しい」と思える女性とは?を伺いたいです。
- ドンさん
- 最初、吉川さんは何をやってたの?
- 吉川
- 私は元々美容師を10年ぐらいやってたんですけど、そこから結婚して専業主婦になって、1年半ぐらいで離婚しました。
- ドンさん
- 何で?性格の不一致?
- 吉川
- 性格の不一致(笑)。最初は専業主婦が楽しかったんですけど結局仕事がしたくなっちゃったんですよね。元主人は、仕事をする事に反対で、私は依存した生活が嫌で自由になりたくて、それで離婚したんです。
自立して仕事がしたいと思い、まつげとか眉毛のメンテナンスの技術に興味があったので勉強しました。独立した時は、まだまつげエクステは全然ない時代だったので技術やデザインは手探りな状態で、自分の経験を元にスクールもやっていました。まつげエクステのブームがくる前に波に乗り、勢いよくここまで来れたという感じです。しかし、最近では少しピークは過ぎて淘汰されてきてますね。
- ドンさん
- なるほど。まつげエクステビジネスも厳しいんだね。
- 吉川
- そうなんですよ。どんどん価格も安くなってきて、早くて安いというお店が増えています。
- ドンさん
- 僕らは外から見てるから、なんとなくとしか感じられないのだけど、こういう流行りの業種っていうのは遅かれ早かれ寿命があるんだろうなって思っちゃうよね。
失礼な言い方するようだけど、一見誰でも出来そうに感じてね・・・ネイルサロンもそうじゃない?
- 吉川
- そうですね。産業障壁が割と低いからっていうのがある。だから私みたいな専業主婦でもやる気があったからできたんだと思います。同じように独立して今サロン展開している女性も多いですよ。
ただ2008年から美容師免許がないと施術できなくなってからはハードルが上がりました。そして今この業界も成熟期を越えてきているので、更にここから生き残っていくために考えていかなければと思っています。だからと言って事業を転換したりするのは簡単じゃないんですよね。「何かアイデアを探して」と、本にも書いてらっしゃいましたけど、まさに壁を超えたいなと思って。
勉強をしてから起業した訳ではなかったので常に壁の連続ですよ(笑)
1人でやっている時とは違って、人を雇う大変さとか…
人数が増えてきたのでちゃんとした会社にしなきゃと思い、将来を見据えて11年前に法人にしたんですよ。
- ドンさん
- 一番最初はどこで店舗を構えたの?
- 吉川
- はい。自宅のマンションの一室でやってて、そののちテナントを借りました。
- ドンさん
- みんな最初はそんなもんだよね。
- 吉川
- その他に技術者を育成する学校が今国内に10校、そして、台湾に1校あります。
- ドンさん
- ほ~う!技術者を育てることからやってるのね?
- 吉川
- そうです。技術者を育てて、その技術で使う商材の販売もしています。
- ドンさん
- そういう商売も、実は大変なんだね。一見誰にでも出来そうだと思ってたけど・・・
他では出来ない独自の方法でビジネスをやってる訳なんだね。僕も今はドン小西独自を表現することを仕事にしてるのね。
例えば、僕らしいデザインだったり、僕にしかかけない執筆だったり、僕だから言えるTVのコメントだったりと・・・
それらは、僕にしか出来ない唯一無二の仕事であって、そこがブレない限り仕事はたえないと思っている。
大変だけど、まっ、人気商売はみんなそんなものかもしれないよね・・・
- 吉川
- 私も色々考えるんですよ。商材にしても技術にしても独自なオリジナリティを打ち出していくために本当考えます。最近では『小顔黄金比まつげエクステ』という365度いつも小顔に見える黄金比を元にした技術をスタートしています。
- ドンさん
- 僕なんか毎月毎月高額なギャラ収入があって、それでいろんな物や事を手にすることができるんだろうけど、芸能なんかの仕事をしているとやりがいのないどうでもいい仕事が高収入になったりすることがある。けどね、なんて寂しい金儲けなんだろうって思ったりすることがあるよ。
しかし、本来のデザインの仕事となると、【これを作れば、儲かる】といった仕事は一度もしたことがない。常に自分らしく純粋な気持ちでデザインしてるよ。
お金は二の次でいい。必ずいい仕事が出来れば、お金はついてくるもんだと信じてるからね。
- 吉川
- ファッションデザイナーっていう方たちは本来そういうものなんですね。
- ドンさん
- そうだよ。本来そういうものなんだよ。えっ!って思われるかもしれないけど、僕はファッションデザイナーでありながら、ファッション雑誌を見ることを本来しない人だったんだ。
- 吉川
- もう全部オリジナルで?
- ドンさん
- まあ、30年も40年も前の話だけど、僕らの時代はね、コピーしてるとかパクッてると言われる事は恥ずかしい事だと思ってた。だから、僕の会社には、ファッション雑誌が机の上にあること自体嫌ったもんだよ。「真似したり、参考にしてるだろ」と思われることがプライドをすごく傷つけてしまうからね。
しかし、今じゃマーケティングだのトレンド分析だのって、よそのデザインをパクるのが普通だからね。
情けないけど・・・
- 吉川
- 有名な海外のハイブランドは雑誌とかでよく出ていて素敵だなと思いますが、確かにそれに似たようなデザインを巷で見ることもあります。
- ドンさん
- ファッションに対する考え方やビジネスも変わってきてるよね。今は凄く安易。だから衣類文化だけじゃなく、ファーストフードをはじめ食文化もそうだし何でもそうじゃない?
美容も昔じゃ、まつげエクステなんてそんな商売あるわけないもんね。
- 吉川
- まつげエクステは2000年に入ってからですよ。それまでは付けまつげですね。当サロンにお越しいただくお客様やまつげエクステにご興味のある女性は、美意識が高く華やかな方が多いです。
そんな美意識の高い女性に向けてドンさんが考える美しい女性とは?
- ドンさん
- やはり表面的に美しさを作りこむのではなく、内面が伴った美しさが大事かなと最近思えるようになった。どんなに仕事が出来ても女性らしさを持っているとか。どこか垢抜けてて品のある・・・歳をとってきたからね、女性には質を求めるようになっちゃった。(笑)しかし、最近日本の女性は綺麗になったよね。ブスってあまり見ないもん。(笑)ま、そんだけ、日本は洗練されてきたって事だよ。実はね、最近いろんな新聞やTVで言ってるんだけど、女性の美しさはそのお国の文化のバロメーターだって事に気がついたんだよ。だから、世界中から各国の首脳が集まるG8とかで各国のファーストレディを見ると、そのお国の文化度や情勢が凄くよく分かるんだよね。それと、ファッションでもその国の文化や経済がよみとれる。
- 吉川
- 女性の美しさとは文化度で、ファッションは経済。なるほどです。
- ドンさん
- 出るんだよ。そういうのがね。不思議とフランスとかイタリアとか先進国っていうのは落ち着いた地に足が付いたような自然な美しさや品格みたいなものが、ファッションを見て漂ってくるんだよね。ロシアとかあの辺の新興国、グーッとのし上がってきてるイケイケの国なんか見るとやっぱり奇抜に美を作り込んでる。
- 吉川
- お国柄や政治の流れも分かるんですね。
- ドンさん
- 首相、大統領、トップの人間がどういう政策をしようとしているのかも。
- 吉川
- 私たちはそういう方たちを映像でいつも見ていて、やはり目が行くのはファッションですよね。その人自身の美しさが際立っていると目を奪われます。そこで色合いやフォルムをお手本にしたり真似をしたりしますよね。
- ドンさん
- そしてその美しさもよくよく見るとその目的なり先に向かう方向性が見えてくる。どっち行こうとしているのかな・・・と。その次に僕がいいたいことは何かっていうと、何のために美しくなるのかという目的がないとダメと言う事なんだよ。話はコロッと変わるけど、今の巷のファッションを見てるとモテ系みたいなファッションしてる子ってアウトじゃない。
- 吉川
- モテ系よく聞きますね。
- ドンさん
- ネットでよく見る若い子用のブランドだろうけど、足をクロスさせてポーズしたり、常に男から「カワイイ」って言わせようとしてる服。ああいうものって本当にダサい!そういうファッションビジネスもあるんだけど、僕らのファッションデザイナーから見ると全く関わりたくないジャンルだよ。
- 吉川
- フワッとしたスカートや肌見せですか?モテ系というとそういうイメージ。
- ドンさん
- 何を言ってるかというと、それらは男目線なんだよね。男に声をかけてもらいたいとか、モテたいとか、セクシーに見られたいとかそういう風な美しさっていうのは僕に言わせると、どっちかと言うと・・・ゲスいね。
- 吉川
- 男性目線。それもありだと思いますが、異性を意識しすぎてしまうと下心がファッションに表れて、本来の女性の美しさとは違うような気がします。
- ドンさん
- 今年あたりから、ファッションの傾向として目線は「女性目線」でしょ。男にモテるより同性に憧れられる好かれる女性像なんだよ。例えばおっさん騙そうと思ったら、ルージュを赤っぽくして、それこそまつ毛長くして、がんがんアイライナーして、そういう男目線のファッションや美しさっていうのはちょっと時代からズレてきてる気がする。基本的に何のために美しくなるのかと言ったら、それは、その人の美意識だったり、生き様だと思うね。二度と戻ることのない二十代、三十代、四十代・・・周りに影響を与える力もあるよね。
- 吉川
- そうですね。結婚している女性は特にですけど、私の周りにいる女性たちは男性を振り向かせようというよりも自分のため。女性目線のほうが厳しいしやっぱり気になる。美しくいることは努力が必要ですけど自分の自信につながるんですよね。
- ドンさん
- そうなんだよ。その通りなんだよ。だから最初は男にモテるために、それも大事かも分からないよ。子孫繁栄のためにはね。でも、今のファッションから見ても美しさっていうのは男性目線より女性目線のほうがそれだけシビアになってきてるわけじゃない。メイクでもマスカラ一つでも色味がどうだとか、リキッドもあればパウダー調もあるだろうし、ひょっとしたら泣いたり汗かいたりにじんだりしたら美しくないわけで、そうなってくると段々目線として同性目線はシビアだよ。でもそっちにいってるんじゃない?本物に全てがね。本物っていうのはシャネルだエルメスだとか、そういう本物じゃなくて本当の美しさっていうことよね。
- 吉川
- 生き方とかね。
- ドンさん
- そういう生き方も含めて美しくなると自信が出てくるじゃない。自信があると余裕ができるよね。色んな人に対応できて、自分のことも知れるし自信が持てると、自分をももてるようにという教育もできるようになるし、余裕があると周りが視野に入ってきて、ちょっと見渡せる事が出来たりするよね。だから自信があると余裕ができる、余裕ができると人に優しくもできるよね。人に気配りもできる。究極は人を教育することが出来ること。
- 吉川
- 余裕のある人って自分を理解していて穏やかで揺らぎがなくて素敵ですよね。そして行き着くところは教育。
- ドンさん
- 育てるということだよな。それがどんどん拡散していくことによって日本人の本物というか美意識が本物になる。また、本物を見分ける目を持つようになるよね。そうするとわけの分からない通販に引っかかってみたり雑誌の表紙や言葉に惑わされたりしなくなる。物事をきちんと見抜ける目、本物とはそういうことだと思うんだな。それが塊になってその延長線上に、先進的な文化、先進的な経済力が生まれる。美は全てに通じると思うよ僕は。
- 吉川
- 美の延長線が日本の経済力に発展していくという考え方、素敵です。日本ってそもそもそういう本物を見抜く目があったと思います。確かに今は薄れていますよね。
- ドンさん
- 男性のファッションも全く同じでね。最近「美しい男」って言われることもあってね。あれも一つの美学だろうな。そうすると美意識も高くなっていって男も男なりに 小ぎれいになって、そうすると何となく環境も変わってくるね。お国の文化度が高まってくる。ゆくゆくはモラルも変わってくるという。そのためには美しさというのも自然ということであるかもわかんないね。本物っていうことは自然なんだろうな。本当の美しさだってそうだもんね。熱帯魚とかキレイな鳥にしてもそうだし。咲き乱れる花とか、あれは本物だよ。神様が作った自然だもの。やっぱりナチュラルなものっていうのは究極の…自然というのは究極の美しさ。
- 吉川
- そうですね。感動しますもんね。
- ドンさん
- 自然の摂理みたいなものにつながってるしというようなことだよ。
- 吉川
- 私たちは女性を美しくする仕事ですので特に本物に触れて本物を見抜く目を養うことが大切ですね。私最初ドンさんにお会いした時、私はテレビのドンさんしか知りませんでしたので、超辛口ファッションチェックの方だって思っていましたけど、お話しすると全然違いますよね。とても勉強になりました。 今日色んなお話をお伺いさせていただいて。ありがとうございました。
- ドンさん
- 日本の女性をドンドン(小西)美しくしてって、くださいね。(笑)
ファッションデザイナー
ドン小西さん
1950年三重県生まれ。㈱小西良幸デザインオフィス代表。
「YOSHIYUKI KONISHI」「d.k.f」等のブランドを手掛け国際的にも評価が高く、最近ではテレビやラジオ、雑誌、
インターネットなどでの激辛なファッションチェックでもおなじみ。
日本のファッションシーンを牽引し続けながらマルチに活躍している。
東京、ニューヨーク、ミラノでコレクションを発表。
91年 毎日ファッション大賞、
98年 FEC (ファッションエディターズクラブ) デザイナー賞 等受賞多数。
精力的な作品群は、国際的にも評価が高く著名人や芸能人にも熱狂的なファンが多い。
シドニーオリンピック「日本選手団公式服装選考委員会」委員
財団法人日本ユニフォームセンター理事
社団法人日本流行色協会理事
「クールビズ」「ウォームビズ」名称選考委員
週刊朝日「ドン小西のいけてるファッションチェック」
扶桑社Straight,「ドン小西の男の器は2軒目でバレる!?」
小学館FAnet「ドン小西のファッション激辛丼」
SPEEDJAX「ドン小西の激突ファッションチェック」
ラジオ「ドン小西のまさに、ここだけの話」
TV愛知「I stage」
等TV雑誌で幅広く活躍中。